2026.10.15

函館の「上下和洋折衷住宅」に見る職人技術と構造の知恵

皆様こんにちは、木村(尚)です。 秋も深まり、心地よい風とともに建築探訪には絶好の季節となりました。皆様いかがお過ごしでしょうか。

今回は先日訪れた函館の街並みから、一級建築士の視点で惹かれた「歴史的建築の意匠と構造」についてお話ししたいと思います。

■ 異文化の融合が生んだ「上下和洋折衷住宅」

幕末の開港以降、函館の西部地区では外国人居留地が限定されず、市街地に外国人住宅と日本家屋が混在する「雑居」の歴史を辿りました。そこで生まれたのが、1階が和風(格子や出格子)、2階が洋風(縦長上げ下げ窓やペディメント)という独自の「上下和洋折衷住宅」です。

当時の棟梁たちが見たことのない西洋建築を手探りで建てた、洋風の意匠を日本の木構造に巧みに取り入れた工夫の産物です。和と洋を巧みに組み合わせた柔軟な空間構成には、職人たちの高い意欲と技術力を感じます。

■ 構造用合板なき時代の「剛床」と梁組の知恵

職業柄、特に目を奪われたのが港湾部に立つ「赤レンガ倉庫群」の架構です。 現代でこそ構造用合板や専用の金物で床の水平構面の剛性を確保しますが、当時はそれらがない時代。梁組の接合部、斜め材(火打ち)の入れ方によって、大きな空間を確保し、地震や暴風の水平荷重に耐える設計にしたのか。先人たちの構造力学的アプローチと大工の手仕事の精度には、深く感銘を受けました。

■ 建築の現場が伝える歴史のリアリティ

また、新選組の屯所(旧・称名寺)として利用された重厚な蔵の木構造や、先日京都で目にした「お茶屋の玄関に残る新選組の刀傷」など、建築は当時の歴史や人々の営みをそのまま記録するコンテナ(容器)であることを改めて実感します。

古い建築の構法や意匠を紐解くことは、現代の住まいにおける耐震性・耐久性の向上や、時代を超えて愛されるデザインを生み出すための大きなヒントになります。

私どもも、先人たちの構造への知恵と美意識を受け継ぎ、安全で価値のある空間づくりを追求してまいります。

住まいに関するご相談や、構造・リノベーションに関する疑問などがございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。(^^♪

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